カカメガ,ブンゴマ旅行

 えー今日は4月8日ですから40日ぶりくらいの更新になりますね.2週間に一度の更新という目標は早くもどっかにいってしまいました.開き直るようですが,ブログの更新などで変に目標をたてるとロクなことはありません.たぶん.ですから,これからも暇ができたら気楽に書き続けようと思います.


 3月は日本から科研メンバーの方々が来られて,皆でKakamegaやBungomaなどに行ってきました.Kakamegaにはケニアに唯一残された熱帯雨林があり,以前から行きたかった場所でした.ここでは十数年前からKEEP(Kakamega Environmental Education Program)というNGOが子供を対象とした環境教育を続けています.KEEPはICIPEとも協力関係にあって,エコツーリズム,野蚕の飼育,森の植物を使った薬品の生産など,森林資源の利用にも取り組んでいるそうです.我々がICIPEから来たことを告げると,快く昆虫の採集を許可してくれました.森に入ってみると,意外に樹は高くなくて,せいぜい30mくらいでしょうか.林内はそれほど蒸し暑くもなく快適でした.この数日後に,森林内に衝突板トラップを仕掛けたのですが,5cm程もある巨大なハネカクシが採れたのが印象的でした.ビタも数十年前までは森林が残っていたそうですが,現在は灌木が点在する程度で,森林は見る影もありません.これだけ人が多くて,みんな炊事に木炭を使っているわけですから無理もない話です.しかし,このままいくと,森林の減少や木材の枯渇はケニアの人々にとって深刻な問題となる気がします.


 次に訪れたBungomaは,Napier stuntの被害が最もひどい地域のひとつであり,Khanさんのプロジェクトのスタッフが常駐してヨコバイ類を調べています.常駐スタッフであるキディアバイとロマヌスにお願いして,日本から持ち込んだバキュームサンプラーと,マレーズトラップを使ったヨコバイの定期調査を始めました.Bungomaは人口密度が高すぎて牛を放牧する場所が無いため,牛を牛舎内で飼育して飼い葉を与える,「zero-grazing」と呼ばれる牧畜のやり方が一般的なようです.飼い葉に使うネピアグラスの牧草地がそこかしこにみられます.ネピアグラスの病気による生活へのダメージは確かに大きいでしょう.Napier stuntの問題を解決するまでの道のりは遠そうですが,病気の媒介種を実験によって特定すると同時に,ヨコバイの発生消長や寄主植物などの基礎的なデータもなるべく取っておきたいと考えています.


 Bungomaで滞在したTourist Hotelでは,夕食を注文してから必ず1時間以上待たされます.ある日などはチェックインと同時に夕食のメニューを注文して,部屋でシャワーを浴びたりして1時間くらいしてから食堂に行きましたが,やはりその後1時間以上待たされました.これは夕食が出るまでにできるだけビールを飲ませようという確信犯的な(?)サービス(??)に違いありません.もしくは,客が待っていないとやる気が起きないのかもしれません.どちらにしても,客としては,ウエイターに催促するくらいしか抵抗の手段がないのがつらいところです.しかしウエイターも悪びれた様子はまったくないので,笑うしかありません.一人で滞在する時は,本でも持っていこうと思います.



カカメガの森.樹の高さは20〜30mほどで,日本の森林と比べても少し高いくらいの印象だった.林道はよく管理されていて歩きやすかった.蚊も殆どおらず快適だった.



イチジクの仲間の「絞め殺し植物」.根の迫力が凄い.取り付かれた樹は既に枯れている.カカメガにて.



放牧が主流のビタ周辺(Suba地区)とは異なり,人口が稠密なBungomaでは牛を牛舎内で飼育する「zero-grazing」が主流.写真の少年のように,刈り取ったネピアグラスを牛舎まで自転車で運んでいるのをよく見かける.Bungoma周辺では,幹線道路を自動車で一日中走っていても,道路脇を歩く人の流れが途切れることは無かった.そのくらい人が多い.



ネピアグラスを食べる牛たち.ネピアグラスの他にサトウキビの搾りかすや合成飼料なども与える.放牧に比べて手間も,お金もかかる.



Napier stuntの感染率の特に高い場所と,比較的低い場所を選び,ヨコバイを採集するためのトラップを設置した.飛んできた昆虫がネットの網にぶつかり,上方に移動して,エタノールを入れたプラスチック容器に落ちる仕掛け.トラップをチェックしているのは,Bungomaでの調査担当のキディアバイ.



もう一人の調査担当者のロマヌスが,バキュームサンプラーでヨコバイを採集しているところ.初めての採集なので妙に興奮していた.真剣そのものだった.