ルオ人の名前

 先週,私の周辺で人口が2人増えた.研究室のアシスタントのサイラスに男の子が,私がアシスタントをお願いしているビクターに男の子が生まれた.サイラスは私と同い年の32歳で,奥さんが二人いるし,子供もいっぱいいる.ビクターは27歳で,2人目.サイラスは常勤だからいいとしても,ビクターに日給ン百円ばかりの給料を払っているわたしとしては,やりくりをちょっと心配してしまう.そういえば,彼は最近給料の前借りがやや多かった.もっとも本人はしかつめらしい雰囲気はまったくなし.ご近所や,友人や,親戚といったコミュニティーのなかで,「もちつもたれつ」で,明るくたくましく乗り切っていくんでしょう.

 知り合いに子供が産まれたら,子供と家族の写真を撮って,フォトペーパーに印刷し,プレゼントすることにしている.2人とも,病院から家まで,車で送りがてら,写真を撮らせてもらった.まだ産まれて2〜3時間後,子供は初めて太陽にあたって,何を思うのだろうか.家族写真では,カメラを前に父親がやたら晴れやかな一方で,お母さんはひどくしんどそうにしている.こんなもんかとその場は思ったが,じつは子供を産んで3時間で帰宅するなんて大変なことらしい.日本では産後1週間も入院するとか.それも長過ぎな気がする.

 サイラスの子はNickと,ビクターのはChrisと名付けられた.ビクターに,「それじゃChris Odhiamboだね」というと(ビクターの苗字はOdhiambo),そうじゃなくて,昼に産まれたからChris Ochiengだという.昼に産まれた子供にはOchieng,夕方産まれた子供にはOdhiamboとつける習慣らしい.そうすると,ビクターの奥さんを「Mrs. Odhiambo」と呼ぶのは,奥さんが夕方以外に産まれた場合,間違ってるかというと,問題ないという.日本と同じで,こちらの人の命名にもいろいろルールがあるようです.日本名が欲しいと言うので,「次郎」と名付けたら随分喜んでいた.「Chris次郎Ochieng」.どこの人だか分からんような気もするが,まあいいや.「小路」は「小さい道」のことだと言ったら,それじゃ「Oyoo」ですねとルオ名をもらってしまった.「小路Oyoo晋作」.「Doc」(多分Doctorの略)よりも,こっちの名前の方が地元っぽくて気に入っている.

Victor1.jpg
産婆さんの家の前で.左端がビクター君と「一郎(日本名)」.その隣が奥さん.

Cris.jpg
次郎.

Beach1.jpg
産婆さんの家のすぐ裏の浜では魚を干していた.この写真を撮ったところ・・・

Beach2.jpg
10秒後にはこんな状態に.しかたなくもう一枚.

その後,Luo人の名前について,もう少し聞いたことを書いておきます.
・産まれた時間によって決まる名前:Omondi (午前4-6時),Okini (午前6-10時),Onyango (午前10-12時),Ochieng (正午-3時),Odiambo (午後3-6時).

・産まれた時の状況によるもの:Odoyo(畑の草取りの時期),Ouko(強風の日),Oluoch(曇天の日),Okechi(飢饉の時期),Ogola(納屋で産まれた場合)

これらは男の子の場合で,女性の場合は最初の「O」が「A」になるそうです.飢饉の時の名前があるのが面白いですね.
ちなみに,すこし調子に乗りまして,知り合いのOdoyo君�は「耕作」,Oukoさんには「風太郎」と和名を進呈したのでした.